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むささび通信

生命とは?

昔から理数系が苦手である。
何をかくそう、高1の時に物理の成績「1」をとったことがあるのだ。
今でも覚えていることといったら物理教師が黒板に書いていた
「λ(ラムダ)=2l」この数式のみ。
生物、科学もしかり。
おしべとめしべが云々とか言われてもちんぷんかんぷん、
臭素の元素記号がBrだとか(これはブラジャーは臭いと覚えた)
暗記中心の授業でどれもつまらなく、ひたすらさぼっていたように思う。
唯一、実験だけは好きだった。
顕微鏡を見たりするのもフナやかえるの解剖などはみんないやがるのに
かなり楽しんでいた気がする。

売り上げ50万部に届いているというベストセラー
「生物と無生物のあいだ」(福岡伸一)を読んだ。
なんせ理数と聞いただけでずーっと避けてきたのだから
本屋でぱらっとめくってみてもタンパク質、アミノ酸だのの
言葉が目に入ってしまい、なんとなく買わなかったのだ。
そしてある日何気なく聞いたラジオで著者の福岡さんの話を耳にして
ぜひ読まねばと思った。
その番組は今話題の「ES万能細胞の再生医療に賛成か反対かという
テーマであり、リスナーが電話をかけてきて自分は意見を述べ、
それに司会者や福島さんが応えるというもの。

この中で福島さんが語った「死はある意味希望なんです」という
言葉に科学、医療というよりほとんど哲学に近いものを感じた。
細部は忘れてしまったが
「自然界は全て時間も含めて流れているものであり、
人間もふくめて生物が死ぬ事は次につながることだから・・・」
というようなことを言っていたと思う。

実際読んでみると、こんな理数音痴の私にも
わかるようかなりやさしくそして時にポエティックに書かれていた。

生命体が機械のパーツではなく
常に均衡を保ちながら動いていること、
途中なにか不具合があったとしてもその不具合や欠損部分を
なんとか補いながらバランスをとって軌道修正をしていくものだ
ということがこれまで何十年と続いてきた、歴代の生物科学者ら
の膨大な実験の積み重ねによりわかってきたのだ。
そしてたぐいまれなる探究心と緻密な計算と理論でもってなんとか
生命を定義づけようとしてきたけれど、自然は思っている以上に
しなやかでしたたかで大きい。

「生物には時間がある。その内部には常に不可逆な時間の流れがあり、
その流れに沿って折たたまれ、一度、折りたたんだら二度と解くことの
できないものとして生物はある。
生命とはどのようなものとかと問われれば、
そう答えることができる」(本文より)

そして一つの生命が生まれてから死ぬまでで
終わってしまうのではなく、変化をしながらずっと流れてきたものが
ふっとそこで次に交代する、でも流れていることは変わらない、
そんな感じだろうか。
人間が前世、来世などを信じるようになったのも、もしかしたらそのことを
なんとなくわかっていたのかもしれない。

それにつけても・・・・。
エピローグにご本人の幼少時代の昆虫やトカゲ遊びの思い出話などが書いてある。
私も子供時代はアゲハを幼虫から飼ったり、おたまじゃくしをとったりと
かなり自然の中で遊んだ気がするのだけど、なぜ片や生物学を志し(今や大先生)
片や「物理1」なんていうひどい成績しかとれない人間ができるのか。
誰か説明してほしい。

生命とは?_e0134219_2015285.jpg

by musasabi-sapana | 2008-02-29 20:04 | その他もろもろ
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