むささび通信

映画/鹿島灘の女

神保町シアターでやっている川本三郎編・
昭和映画紀行/観光バスの行かない町特集のひとつ。

茨城の鹿島灘(千葉の銚子の北)の漁村で暮らす若者達(男女)が
漁の不作を理由に、毎年霞ヶ浦の農家に稲刈りに出稼ぎにいく。
乗り合いバスで揺られて数時間、若者達は各農家に数名づつ振り分けられる。
映画はある豪農一家には様々な職業の(それだけでは食べて行くのがたちゆかない)
いわゆる季節労働者の人々と鹿島灘からきた若者達の一夏(稲刈り時期)が描かれる。

豪農一家の農地相続問題、家族の確執(本家で農家であるということに
重圧を感じる長男、農家に嫌気がさして東京でサラリーマンをしながら金を無心に来る次男、
東京で学生をしている遊び人の妹など)に農作業、若者男女の恋、焦燥感などが
からむ。

農政問題など普遍的なテーマも興味深かったけど、なんといっても特筆すべきは
霞ヶ浦の水田の風景。
こんなところが日本に、それも東京近郊にあったとは。

両脇に続く水田の真ん中を川が流れ、農作業する人々はそこを木舟で行き来する。
今でも一見東南アジアなどの川では見られそうな雰囲気だけど
空と、風でさざなみがたつ川、水田の風景は今の日本では完全に絶滅している。
もし現在まで残っていたらそれこそ世界遺産に登録できたはず。
ただ、映画の中でも大雨で洪水が起きたり、そういう風景のある生活は貧しさと
隣り合わせであり、当時の人々はこんな生活から抜け出したい、
少なくとも子どもや孫にはさせたくない、と思ったんだろう。

もうひとつ、面白かったのは描かれる若者男女のおおらかさ(?)。
男は必ず道行く女をからかうし、あけっぴろげでおおらかで、
よくも悪くも本能のまま。
たぶん夜ばいとかも普通にあっただろうし、
「婚活」しなくても結婚もすんなりできただろうなぁ。

厳しいけど美しい「自然」と「おおらかな男女関係」どこか結びついているのでは。
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by musasabi-sapana | 2009-06-19 22:46 | 映画・本・美術
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