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むささび通信

森繁久彌と久世光彦

世田谷文学館でフィルムフェスティバルで森繁久彌、
展覧会で久世光彦を取り上げている。
いわずとしれた昭和を代表する名優とテレビを主とする演出、文筆家。

本日の映画は山本周五郎原作の「青べか物語」(川島雄三監督)。
昭和30年代半ばの浦安(映画の中では浦粕)、
東京からこの小さな漁村に来た三文文士の森繁久彌。
ここで腰を落ち着けて作品を書こうと思うのだが、なかなか筆は進まない。
村人達は母親に捨てられた少女の乞食、小料理屋のかしまし娘、
人の亭主を次々と寝取る女房、不能のせいか離縁される雑貨やの息子
などなかなかくせ者揃い。
そんな人々を「よそ者」の森繁久彌は異国の人のように
淡々と観察する。(時にまきこまれたり)
出演者も音羽信子、フランキー堺、山茶花究、東野英治郎、、左幸子、市原悦子など
演技派揃い。

そして前に観た「鹿島灘の女」もそうだったけど、
川と海の風景がため息がでるほどすばらしい。
延々と続く干潟、べか船(魚を釣ったりするための一人乗りの小舟)がいきかう掘割、
葦のはえる川辺、夜のほの暗い灯りに照らされる船。
今はディズニーランドになっているところとは思えない。
ディズニーランドは行きたくないけど、こんなところが残ってたら
遊びに行っちゃうなあ。

久世光彦展も直筆原稿、書簡、エッセイ・小説からの抜粋文の展示、書斎の復元
など充実した内容。
「時間ですよ」「寺内貫太郎一家」などのDVDも流している。
小学生時代の姉への手紙で「日本一の大文豪になる決意をした」
と書いていたのには驚き。

久世光彦は杉並阿佐ヶ谷生まれ。
その庭には金木犀が咲いており、窓からはその匂いが漂ってきたことを
幼少時代の思い出として書いている。
そしてまさに帰る道すがら、どこからともなくその香りがしてきた。
たしかにあちこちで咲き始めている。
台風があと少しずれていたら散ってしまっていただろう。
by musasabi-sapana | 2009-10-08 23:43 | 映画・本・美術
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