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むささび通信

2010年 11月 25日 ( 1 )

映画/ハーブ&ドロシー

NYで1960年代から住まいの広くないアパートに膨大な現代アートの
コレクションをしてきた夫婦のドキュメンタリー。
2人の生活を中心に昔から交友のあるアーティストのインタビューもまじえ、
1960年代からのNYのアートの歴史などもすごくわかりやすく
描かれており、美術に感心のない人にもすごく楽しめる作品。

ドロシー(妻)の給与で生活し、ハーブ(夫)の給料はすべて現代アートの
コレクションにつぎこむ。
これがどっちか片方の趣味だったら破綻していたはずだけど、
2人共通の趣味なのだからすごい。
コレクション依存症といっていいくらい。
決して高い給与をもらっていたわけでもなく(夫は郵便局の仕分け、
妻は図書館員)おそらく生活自体は質素だけど、
好きなものにはとことんのめりこむ2人なのだ。
一時はようじ1本入るすきまもないくらい、壁、天井まで、ぎっしりだったという。
あるアーティストの証言。
「ベッドの下にも作品がすごくてだんだんベッドが高くなっていったんだよ」

ハーブとドロシーの作品への評価はこむずかしくない。
好きかどうか。
そして作品だけでなくアーティストがそれを生むまでのプロセス自体も
興味深く、作品と同等の価値があるという。
おもしろいのはハーブは前のめりになって鋭く食い入るように作品をみつめ、
後ろにすっとたっておだやかに作品をみるドロシーの対称的な姿。
(あるアーティストはこの姿勢を作品にしていてこれもおもしろい!)
共通しているには脳で消化するのではなく、持って生まれた審美眼で
魂に直接作品を取り込むこと。
そして作品は売らないこと。
後になって高い値段になっても「金もうけのために集めているんじゃないから」

結局最終的にはあふれた何千という作品の寄贈先が
ワシントンのナショナルギャラリーになるのだけど、
いくばくかの謝礼金で「ソファを買うとか、生活自体を心地よく
してもらいたい」という、親族やナショナルギャラリーのスタッフの願いも
むなしく、またもやアート作品を買い続けているらしい。

NYという交通手段のよい立地とアートの密集度があったからこそ
可能な蒐集だったとはいえ、こんなユニークな夫婦はそういない。
こういう人生もすばらしい!

映画はこちら
by musasabi-sapana | 2010-11-25 16:45 | 映画・本・美術



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